岡山大学法科大学院弁護士研修センター

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センター長挨拶

 岡山大学法科大学院は創立以来多くの司法試験合格者を輩出してきました。修了生の弁護士登録地域をみると、その6割が交通の連結点である地元岡山であり、約8割が中・四国、九州、関西エリアを含んだ地域です。しかしながら、地域の法科大学院の役割としては、修了生を司法試験に合格させ、それぞれの地元に弁護士として配置するだけでは十分ではありません。私は、「地域に奉仕し、地域に根差した法曹養成」という岡山大学法科大学院の理念は、弁護士に必要な基本的スキルを備え、かつ、専門的知識を身につけた「質」の高い弁護士を養成し、地域のニーズに対応したリーガルサービスを提供してはじめて完成すると考えています。
 

 私は、自治体職員(神戸市)として7年間の勤務経験があり、そのうち、5年間は教育委員会事務局で各種行政事件や学校事故などの示談・争訟も担当してきました。学校現場は、コミュニティーの中心として多くの法律問題を抱えており、昨今は、問題がますます複雑化してきています。また、現在、週1回だけですが、県内のある自治体内で法律相談を担当していますが、相談件数は年間約250件ほどになります。ある意味、非常勤の「組織内弁護士」ともいえる立場ですが、これほど多くの需要があるとは考えていませんでした。しかし、自治体が抱える法律問題を解決するには、各種行政法や地方自治法など幅広い専門的法律知識だけでなく、民事訴訟実務、成年後見人、破産管財人のなどの実務経験、さらに、政策形成に関する組織内でのコミュニケーション能力(多くの職員との協働)が必要であり、新人・若手弁護士が何の経験もなくこれら職務を担うには荷が重すぎるのではないかと思います。地域全体に、自治体実務に精通した人材を増やしていくためには、法科大学院での教育経験と実務経験を有する実務家教員と研究者教員とが協力しつつ、弁護士教育に積極的に参加する必要があると考えるに至りました。現在、岡山という地域では、自治体法務以外にも、中四国の医療産業拠点の推進都市(メディカルテクノバレー構想)に必要な「医療・福祉・健康」関連法務や地域産業を担う企業関連法務に関するリーガルサービスの提供がが強く求められています。そこで、岡山大学法科大学院弁護士研修センター(OATC)では、「地域に奉仕し、地域に根差した法曹養成」という理念のさらなる展開として、岡山という地域におけるニーズを反映した新人・若手弁護士の研修を行うとともに、その中から「組織内弁護士」として派遣し、「法曹継続教育」の実現を構想しています。
 

 OATCは、大きく3つの役割を担います。第1に、新人・若手弁護士の計画的、継続的、かつ実践的な実務研修を実施します。従来の法曹養成は、既存の法律事務所に就職し、「先輩法曹の背中を見る」というOJT(On the Job Training)が中心でしたが、OJTの機能が低下するなか、新たな「継続法曹養成」機関が求められています。アメリカでは、NITA(全米法廷技術研修所)が有名ですが、わが国においては、弁護士会での研修を除き、これに類する教育機関は未だありません。OATCは既存の法律事務所を補完する形で、これを実現します。第2に、従来の法廷型弁護士ではなく、岡山大学内に付設する合同法律事務所で弁護士実務の経験を積ませ、予防法務・戦略法務を担える人材を養成し、「組織内弁護士」として自治体や病院、企業に派遣し、もって、新規弁護士業務の開拓にも挑戦します。第3に、OATC自体が、各方面の実務家・専門家とともに先端法分野研究に取り組み、かつ、その成果を弁護士研修に取り入れ(「研修」の方法論も探ります)、もって、「理論」と「実務」の架橋を実現します。
 

 もちろん、これらの計画が一朝一夕に実現できるものではないことは十分に承知していますが、皆様のご支援をいただきながら、地域に特化した法曹養成を目指してまいりたいと考えています。

 

岡山大学大学院法務研究科教授 吉野夏己

 

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